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王朝文学文化研究会 


文学文化舎


日本文学文化概説A (平成28年度)
~日本を知る、日本人を知る―《黎明の日本文学文化》~


【概要】

日本を知る-我々はこの命題に真摯に答えていかねばならないだろう。正しくこの国を知ることが我々の使命であり、そして与えられた課題でもある。この講義科目は、そういったことを考える一つの手がかりに過ぎない。この科目での学習が受講者の旅立ちの一助になることを願ってやまない。

文学文化とは、文学を広く文化の視点から捉える言辞と考えて差し支えないが、それは言い換えれば、文学・文芸が生み出されるには、歴史的必然があり、その必然は、それを生み出すに至った社会や文化の中にこそ求められなければならないということなのだ。従って、文学・文芸のあり方は、深くその時代の社会や文化に根ざし、その諸相も当然時代の変動や流れを強く反映したものとならざるを得ない。

 

担当者は、大きくこの国の文学文化の歴史を、貴族の時代(奈良~室町)・非貴族の時代(安土桃山~江戸)・個人の時代(近現代)という視点で捉えている。貴族の時代は複雑で多様な隆盛期を経て、やがて衰退期へと向い、さらに、非貴族の時代、町人・市民の時代へと移行していく。

古代から現代に至るこの国の文学文化のあり方を、そのすべての時代にわたって熟視することは難しい。しかし、そのあり方を、その原点にさかのぼって考察することは、あるいは可能であるかもわからない。本講義では、日本文学文化の原型ともいうべき古代日本の諸相を追求し、おぼろげながらもその輪郭としてのかたちを確認したいと思う。

日本文学文化は、時代や社会の移り変わりやその陰影の中で、その表情を微妙に変貌させていくであろう。日本文学文化の原型である古代日本に注目し、その光と影の種々相に迫ってみたい。


【スケジュール】

第1回:導入
第2回:瑞穂の国の物語―この国のかたちを検証する
第3回:司馬遼太郎『街道をゆく』から―古代日本と朝鮮半島、もしくは渡来人のこと
第4回:国際化時代と中央集権国家―「日本」および「天皇」の成立
第5回:日本文学文化の森―日本文学文化史を概観する日本文学文化の望郷詩―「さざなみの都」と「遠の朝廷(みかど)」
第6回:「都市」の成立と文学文化―「宮」から「都城」へ
第7回:「鄙(ひな)」の文学文化―石碑(いしぶみ)は何を語るか
第8回:日本文学文化の望郷詩―「さざなみの都」と「遠の朝廷(みかど)」
第9回:『古事記』とは何か―我が国最古の「古典」が語るもの
第10回:「うた」とは何か-『萬葉集』を考える
第11回:「王権」とは何か―勝者と敗者の文学文化から
第12回::文学文化と「貴族」―「あをによし奈良の都」、あるいは「みやび」について考える
第13回:花開く天平文化―国家と仏教、そして大和朝廷の危機
第14回:封印された「歌集」―大和から山城へ、桓武天皇を考える
第15回:総括


【到達目標】

  1. 日本とは何か、日本人とは何か、という問い掛けを発するとともに、日本文学文化の持つ課題を認識し、その解決に当たっての自覚的方法論を獲得する。
  2. 日本文学文化の本質、および特質を理解する。
  3. 古代日本のあり方を正確に認識する。
  4. 授業担当者の解説を正確に理解する。

-◆-「講義余話」-◆-