源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐

上:『源氏物語』の「胡蝶」巻で、紫の上は、秋好む中宮の「季の御読経」の催事に際して供華を行ったが、その時の使者として遣わされたのが、「迦陵頻」と「胡蝶」を舞う童子たちであった。庭の舞を見る画面奥の秋好む中宮と光源氏、春爛漫の六条院、西南の町である。

源氏物語小屏風絵-胡蝶-
(個人蔵、江戸初期)

下:「龍頭鷁首を、唐のよそひに、ことことしうしつらひて、楫取の棹さす童べ、皆みづら結ひて、唐土だたせて、さる大きなる池のなかにさし出でたれば、まことの見知らぬ国に来たらむここちして」―『源氏物語』「胡蝶」巻より

源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐
部会報告
平成21年11月25日 第13回 水曜部会

【報告】
本日11月25日は田辺さんの発表でしたが、卒論の説明会のため来週に変更となりました。代わりに大野が少々駄弁を弄することとになりました。
先日、着装体験を行った際にご説明した重ねの色目に関連して、資料を2冊お持ちいたしました。
吉岡幸雄『日本の色辞典』(紫紅社)  (参考;amazon.com)
吉岡幸雄『源氏物語の色辞典』(紫紅社)  (参考;amazon.com)

源氏物語に限らず、平安時代の文学作品を読むにあたって、装束や恋歌を書く紙などの色の描写が出てきた時、具体的にイメージするのに大変役に立ちます。 特にかさねの色目に関しては、重なっている部分の色まで再現してあるものです。 「源氏物語の色」のほうは、巻ごとに装束の記述をとりあげ、その場面のイメージを衣を重ねながら表現していて、見ているだけでも大変美しいです。 両方とも、大学図書館にございますので、何かの折には是非参考になさってください。

また、巣守巻についての新聞記事をご紹介いたしましたが、先日21日に、その記事にあった実践女子大学でのシンポジウム「源氏物語と古筆切」に行ってまいりました。 そのときのパネリスト別府節子先生(出光美術館)の資料をもとに、手持ちの資料なども加えて、写本のことについて少しお話しいたしました。 また、源氏物語に限らず、古典文学作品は、江戸時代に版本による湖月抄などがでるまでは、一字一字で写され続けて現代まで伝わってきました。 その写される過程における文字の時代ごとの特徴など、別府先生にお話をもとに、源氏物語の写本とも関連付けて申し上げるつもりが、全体的にとりとめのない話になってしまいまして反省することしきりです。 また、何かの機会がございましたら、もう少し具体的な資料なども交えて、きちんとご説明したいと思います。

 

大野祐子