源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐

上:『源氏物語』の「胡蝶」巻で、紫の上は、秋好む中宮の「季の御読経」の催事に際して供華を行ったが、その時の使者として遣わされたのが、「迦陵頻」と「胡蝶」を舞う童子たちであった。庭の舞を見る画面奥の秋好む中宮と光源氏、春爛漫の六条院、西南の町である。

源氏物語小屏風絵-胡蝶-
(個人蔵、江戸初期)

下:「龍頭鷁首を、唐のよそひに、ことことしうしつらひて、楫取の棹さす童べ、皆みづら結ひて、唐土だたせて、さる大きなる池のなかにさし出でたれば、まことの見知らぬ国に来たらむここちして」―『源氏物語』「胡蝶」巻より

源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐
部会報告
平成21年7月4日 第4回 土曜部会

【報告】
王朝文学文化研究会 土曜部会 第4回

開催日:平成21年7月3日
開催場所:白山キャンパス6316教室
出席者:11名
発表者:渡辺恵実子・古田正幸(発表順・敬称略)

○渡辺の発表
P10L4~8、和歌が三十一文字の形態をとるに至った箇所を担当しました。
古事記と日本書紀とで記述に齟齬があること、古今集成立当時は記紀の研究・解釈が十分でなかったことから、注釈にもいくつかの疑問点、不明点がありました。 引用元である記紀の注釈も詳しく調査ができればよかったのですが、そこまで至らず、不確定要素を多く残したことを反省しております。 「仮名序」の前半は、私たちにとって「昔の人がさらに昔の人のことを語っている」部分なので、ひとつひとつの疑問点を詳しく調査し、より深い理解を得たいと考えました。

○古田さんの発表
P10L10~P11L8を担当されました。
本文の原点・根拠と思われる文学作品や、それに関する文献をもとにご自身で注釈を入れており、大変勉強になりました。 特に、「花をめで、鳥をうらやみ~言葉おほく、様々になりにける」の部分で、仮名序は和歌の内容を述べているのに対し、真名序は和歌の形態(長歌・短歌・旋頭歌等)を述べているという対比では、真名序が単なる仮名序の敲きではないということを読み取ることができ、どちらの「序」も重要であることを認識させられました。

○総括 この部会は、先生方・学部生・院生・卒業生と様々な人が参加されているので、発表後の質疑で、自分自身新たに気づくこと、疑問に思うことも多くありました。 発表が終わったからといってその箇所を素通りせず、さらに理解を深めるために勉強したいと思いました。

卒業生 渡辺恵実子

 


※資料(アクセスキーを入力してください)
  『古今和歌集』仮名序 (L5/p10)
  『古今和歌集』仮名序 (L10/p10)