源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐

上:『源氏物語』の「胡蝶」巻で、紫の上は、秋好む中宮の「季の御読経」の催事に際して供華を行ったが、その時の使者として遣わされたのが、「迦陵頻」と「胡蝶」を舞う童子たちであった。庭の舞を見る画面奥の秋好む中宮と光源氏、春爛漫の六条院、西南の町である。

源氏物語小屏風絵-胡蝶-
(個人蔵、江戸初期)

下:「龍頭鷁首を、唐のよそひに、ことことしうしつらひて、楫取の棹さす童べ、皆みづら結ひて、唐土だたせて、さる大きなる池のなかにさし出でたれば、まことの見知らぬ国に来たらむここちして」―『源氏物語』「胡蝶」巻より

源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐
部会報告
平成22年6月26日 第23回 土曜部会

【報告】
  参加者は河地、田辺、大川、酒巻、市川、石澤、鈴木(敬称略)と発表者川畑の計8名でした。担当箇所は19~22番歌です。
  まずは、19番歌の「とぶひ」について。
「とぶひ」はのろしを上げて敵の侵入を急報する設備のことで、初めは天智3(644)年に新羅の侵攻に備え、対馬、壱岐、筑紫に置かれました。 それが令制下では、40里間隔で設けられ、春日野のあたりには元明朝(707~715)ころに設置されたとのことです。 その後「とぶひ」は延暦18(799)年に大宰府管内以外のものは廃止されたそうなので、この歌は奈良朝~平安京遷都前後に読まれたと考えられます。 ちょうど仮名序にある「万葉にいらぬ古き歌」にあたるかもしれません。
  そして今回の大きな論点であった配列と歌解釈の関係について。
こちらはレジュメの方に土曜部会での議論を通して、私なりにまとめ直した考察を新たに書きました。参加された方もご覧になってみてください。
  一首一首の和歌と、和歌集の中の和歌としての意識の違いといいましょうか、そういう部分に考えをめぐらせることが古今集読解の楽しさのひとつかなと感じました。

川畑有貴


※資料(アクセスキーを入力してください)
   『古今和歌集』19~22番歌(p27)