源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐

上:『源氏物語』の「胡蝶」巻で、紫の上は、秋好む中宮の「季の御読経」の催事に際して供華を行ったが、その時の使者として遣わされたのが、「迦陵頻」と「胡蝶」を舞う童子たちであった。庭の舞を見る画面奥の秋好む中宮と光源氏、春爛漫の六条院、西南の町である。

源氏物語小屏風絵-胡蝶-
(個人蔵、江戸初期)

下:「龍頭鷁首を、唐のよそひに、ことことしうしつらひて、楫取の棹さす童べ、皆みづら結ひて、唐土だたせて、さる大きなる池のなかにさし出でたれば、まことの見知らぬ国に来たらむここちして」―『源氏物語』「胡蝶」巻より

源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐
通信部会報告
第1回 通信部会 (H22.5.29)

「課題に関わって」(河地)

「肖聞抄」のこのくだり、『伊勢物語』の作者については、女流歌人伊勢の作の可能性に言及し、それに因んでこの物語の題号となっている可能性を述べているが、さほどに伊勢作ということにこだわっているふうはない。私が、ここで注意したいのは、「所詮作物語と見侍るべき也」という言葉である。「作物語」とは、創作の物語ということであるが、とすれば、この物語は、けっして在原業平の忠実な一代記ではないという見方が、すでに明確に出ているということになる。


模範解答  (1丁表)―古田正幸―