源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐

上:『源氏物語』の「胡蝶」巻で、紫の上は、秋好む中宮の「季の御読経」の催事に際して供華を行ったが、その時の使者として遣わされたのが、「迦陵頻」と「胡蝶」を舞う童子たちであった。庭の舞を見る画面奥の秋好む中宮と光源氏、春爛漫の六条院、西南の町である。

源氏物語小屏風絵-胡蝶-
(個人蔵、江戸初期)

下:「龍頭鷁首を、唐のよそひに、ことことしうしつらひて、楫取の棹さす童べ、皆みづら結ひて、唐土だたせて、さる大きなる池のなかにさし出でたれば、まことの見知らぬ国に来たらむここちして」―『源氏物語』「胡蝶」巻より

源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐
通信部会報告
第2回 通信部会 (H22.8.2)

「課題に関わって」(河地)

今回の課題のくだり、「一条禅閣」という人物が二度出てくるが、大野先生の「掲示板(7月14日)」で説明があったように、一条兼良のこと。源氏の古注釈『花鳥余情』が有名だが、伊勢の古注釈『伊勢物語愚見抄』を著している。伊勢の古注釈は、北村季吟以前のものを「古注」、江戸期のものを「新注」と呼ぶが、一条兼良『愚見抄』、牡丹花肖柏『肖聞抄』は、室町期を代表する「古注」の双璧である。 今回の課題から「初段」に入ってきた。冒頭「昔」の説明をし、「男」については「男在中将の事也段ゝ何も業平なるべし」と解説する。この「男」は「在原業平」であると言うのである。


模範解答  (2丁表)―古田正幸―